慈雨

慈雨

(97)
著者柚月裕子
発行日2016-10-26
出版社集英社
警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。旅先で知った少女誘拐事件は、16年前に自らが捜査にあたった事件に酷似していた。手掛かりのない捜査状況に悩む後輩に協力しながら、神場の胸には過去の事件への悔恨があった。場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。事件の真相、そして明らかになる事実とは。安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。

mayu(40代・女性)

殺人事件が起きたので推理やミステリー要素が強いお話なのかなと思ったら、主人公が過去の過ちや後悔と向き合うしっかりとした人間ドラマでした。
重苦しいだけではなく、巡礼の旅や夫婦の愛など心温まる雰囲気も伝わってきて、最初から最後まで飽きず、すごく読みやすかったです。
読み終わった後、自分も真っすぐに生きたいと思わせてくれました。読んで良かったです。

彩名(40代・女性)

ミステリー作品というと、大抵は犯人が誰なのかということがメインのように感じます。
ですが、この作品は人間の内面にスポットライトを当てているのだと感じます。
主人公の神場は、おそらく16年前の事件を忘れることなく生きてきたのでしょう。
妻と四国巡礼をしている時の何気ない会話が、本当はどんなことを考えているのかと想像させてくれました。
そして、娘の夫になるかもしれない緒方への複雑な接し方などがとてもリアルで、読んでいるうちに自分もその場にいるような気さえ持たせてくれます。
冤罪を暴いてしまうかもしれない。
でも、真犯人を許してはおけないという葛藤もまた、人間の弱さや強さを感じさせてくれました。

たろきち(40代・男性)

読んでいて非常に感動させられるシーンが多いので息つく間もなく読み漁ってしまいました。
女流作家でありながら男性作家に負けないぐらい力強さのある作品だと思います。
「人間の価値とは何なのか」について深く考えさせられる作品だと思います。

ライト(40代・男性)

四国八十八ヶ所巡礼と幼女殺害事件発生から事件の解決していく同時進行のストーリー展開。
情景描写や人物の心情についてうまく描かれていて人間の根源の罪と赦しを考えさせられました。
ラストは印象深く繊細に描かれていました。読み始めて一気に読んでしまいました。

硯(20代・女性)

お遍路巡りとともに半生を振り返りながら、過去や現在の事件について思いを巡らせていくところが面白かったです。
家族関係の問題もありながら、お遍路の途中で出会った人達とのエピソードも交えつつ、主人公が自己を見つめ直していく過程も楽しく読めました。

まい(30代・女性)

心理描写がとても繊細で、登場人物に感情移入しながら読み進められたのですぐに読み終わりました。
とてもしっかりとした話の筋があり、ミステリーですが人情物語な部分が大きく、最後の方は涙なしでは読む事が出来ませんでした。大好きな作品です。

LP
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